眼の傷害も此通り  (昭和二十八年) 

  世間よく過って眼球を傷つけた場合、慌てて眼科医へ行くが、仲々治らないもので、巧くいっても普通数ケ月はかかる。それだけならいいが、その結果往々失明する人さへある。之に就いて面白い話がある。それは今から廿数年前、私が民間療法を始めた頃、或日老年の町医者で、三十年前から学校医をしてゐる人が訪ねて来た。訊いてみると半年程前入浴中、石鹸水が眼に入り非常な痛みと共に、段々悪くなるので、幸ひ息子が某大学病院の眼科医なので、最新の凡ゆる療法を試みたが、治らない処か段々悪くなり、失明の一歩手前にまで来た。その時私の話を聞き訪ねたとの事である。見るとその通りであったが、数回の浄霊で全治し驚いたのは勿論である。数日後礼に来たので、その際聞いて唖然とした事は、家族の者には絶対秘密にしてゐるとの話で、不思議に思ひ訊いた処、曰く“若し之が知れたら医師会から除名され、学校医は免職され、家族の者にはどんなに怒られるか知れない”というので、私は呆れざるを得なかった。尤もその頃は今日と違ひ、社会の空気もそうであったからである。
  此事をフト思ひ出したので茲にかいた訳だが、当時の私はまだ未熟であったに拘はらず、之程の効果を現はしたにみても、眼病は如何に治りいいかが分るであろう。
        天秤棒で失明寸前の傷 一日半で癒さる(本文省略)